第15章

佐藤橋が自分のアパートに帰ったのは、もう午前一時のことだった。

松本祐介が彼女を下の階まで車で送り、階段を上る彼女を見送ってから立ち去った。あの鳩色の稲妻は、夜の闇の中で静かに現れては消え、この古いアパートで浅い眠りについている誰一人として起こすことはなかった。

佐藤橋は手探りで鍵を鍵穴に差し込み、ドアを開けると、明かりもつけずにソファに身を投げ出した。

彼女は片手で顔を覆い、顔中が熱く火照っているのを感じた。まるで蒸し器に入れられたかのように湯気が立ち上っているようだった。しかしその熱い世界の中で、足の裏から足首へと寒気が少しずつ這い上がってくる。佐藤橋はそれ以上考えないようにした。...