第40章 また奇妙なストーリー

佐藤橋の松本祐介に対する気持ちは、実のところかなり微妙なものだった。

自分が松本祐介のことを好きだ、という事実は否定しない。なぜ好きではないと言えるだろう? 彼は容姿端麗で、声も魅力的で、人柄も頼りがいがある。時に冷たく厳しい態度を取ることもあるが、佐藤橋のような若い女性にとっては、それすらも抗いがたい魅力だった。

支部で働いていた頃、佐藤橋はしばらく彼に恋焦がれていた。しかし、松本祐介の目には、自分が他の女性タレントと何ら変わらない存在として映っていることに気づいてしまった。彼が自分にしてくれることは、他の誰にでもしてやれることなのだと。

その事実に、佐藤橋は静かに怒りを燃やした。そ...

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