第44章 私の命令を聞け

今日の藤井白悠は、いつもより少しフォーマルな装いだった。体にぴったりと合った墨緑色の薄いスーツ。シルバーの縁取りが施された白いシャツの裾は、無造作にスラックスの中へ押し込まれている。茶色のサングラスが深い青の瞳をわずかに隠しているが、それでも全身から放たれる圧倒的な魅力は隠しようもなかった。

「やっぱりここにいたんだ」

藤井白悠が、笑みを浮かべて近づいてくる。彼が一歩動くたび、周囲の人々の顔も一斉にそちらを向く。まるで、太陽が向日葵の群れの中に足を踏み入れたかのようだ。無数の向日葵が、一斉に小さな太陽の方へと首を巡らせる。

佐藤橋は、藤井が自分の隣の席に腰を下ろすのを、ただ目で追うこと...

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