第54章 新たな挑戦と刺激

「ぷっ……」

思わず吹き出した佐藤の口元を、中村が差し出したティッシュでそっと押さえた。

「驚いた?」

「……ちょっと」佐藤は口いっぱいに頬張ったケーキを慌てて飲み込み、まだ残る甘さを嚥下するのに苦労しながら尋ねた。「理由を、聞いてもいいですか」

「話せば長くなるんだけど」中村は佐藤の口角についたクリームを指で拭い、悪戯っぽく微笑んだ。「でも、よく考えた末の結論なんだ。君をがっかりさせることはないと思うよ」

「でも、あの……」佐藤は言葉に詰まった。

「早すぎる、かな」

「はい」佐藤は少し困惑したように頷いた。「中村さんがすごく素敵な人なのは分かります。何もかも完璧で……でも、私...

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