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第十一章 - 波乱

アリーの見舞いを終えた後、私はセレーネと一緒にキッチンに立ち、今夜のデザート用のアップルパイを作っていた。アリーはまだ自室という安心できる場所から出る気にはなれないようで、それも無理からぬことだった。クリスは午後の見回り任務に出ており、私はセレーネと過ごす時間を楽しみにしていた。彼女は私の母とほぼ同年代で、そばにいるだけで家にいるような懐かしい安心感を与えてくれた。

私がリンゴを洗ってスライスする間、セレーネはパイ生地の準備をしていた。パイに使うリンゴをバケツ一杯分摘むためにリンゴ園まで歩いて行ったのだが、子狼たちは大喜びで収穫を手伝ってくれた。群れの誰もがとても幸せそう...

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