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第十九章――外出

足に温かくて湿った何かが触れるのを感じた。くすぐったくて、その感触が繰り返されるたびに目が覚めていく。私は毛布の下に足を引っ込めた。何か柔らかくて毛むくじゃらのものが足元で動き、またあの温かい舌が足を舐める感覚がした。

目を開けると、一瞬、どういうわけか犬がアパートに忍び込んだのだと思った。それから、犬ではないことに気づく。ベッドの足元に、大きな黒いアルファの狼がいて、私の足を舐めているのだ。

「やめて」私はくすくす笑いながら、もう一度足を引っ込めようとした。彼は低く一声吠えると、いきなりベッドに飛び乗ってきた。その大きな狼が、まるで獲物でも見るかのように私の上に覆いかぶさ...

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