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第二十二章 ――シズル

マック視点

俺はその夜、海辺のブティックホテルにチェックインし、海の見える最高級の部屋を頼んだ。部屋には床から天井まで届く大きな窓があり、そこから海が一望できた。窓のすぐ前には、独立型のバスタブが鎮座している。

「アルファ、ずいぶん素敵な部屋じゃない」キャシーがジャケットを脱ぎながら言った。彼女が大きな窓に歩み寄り、景色に見入るのを俺は目で追った。

「女王陛下もご満悦のようだな」俺はそう返すと、彼女の隣に並んで窓の外を見た。遠くに桟橋が見える。あのベータはもう岸に流れ着いただろうか、とふと思った。

「このお風呂、二人でも十分な広さね」彼女は微笑んだ。

「傷がもっと癒...

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