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第三章 ― フライト

「ほら、ヴィクトリア。温泉までひとっ走り付き合えよ」

私は、俺の出発にいまだ腹を立てている番(つがい)の機嫌を取ろうとした。

「どうして私は一緒に行けないの?」彼女は詰め寄った。

「これは俺一人でやるべきことなんだ。俺の運命だからな」

「マテオとワイルダーは連れて行くじゃない。なんで私はダメなの?」

「危険かもしれないからだ。ジャングルで何に遭遇するか分からない。ジャガーやはぐれ狼、ヴァンパイア……クソッ、何がいるか分かったもんじゃない……チュパカブラだっているかもしれない」

「あなたがジャングルをうろついている間、私はリゾートに残って日焼けでもしてるわよ」...

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