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第十七章――炎

見上げると、ジャングルの端にユードラの両親が立ち、こちらを見つめていた。

俺がヘクターの肩に爪を食い込ませ、鬱蒼とした茂みの中へ引きずり込むと、彼は悲鳴を上げた。彼は炎を宿した俺の目を見つめ、それから赤く燃えるエミリオとナオミの怒りの目を見た。

「頼む、頼むから、傷つけないでくれ。あいつにやらされたんだ。あいつが、あいつが彼女を……」ヘクターは泣きじゃくりながら意味不明なことを口走った。

「誰だ? 誰にやらされた? 誰がユードラを欲しがってるんだ?」俺が唸ると、足元の大地が揺れた。内なる荒れ狂う獣を抑えるのに必死で、俺の周りを脈打つエネルギーは危険なほどだった。

「頼む……俺...

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