8

第八章 想い

その日の夜更け、私は他の幹部や戦士たちと共に夕食のテーブルを囲んでいた。シアがつがいである相手のすぐそばにいるせいで、彼女を抑え込んでおくことがますます難しくなっていた。私は黙ってポークソテーを切り分けながら、一体どうして、なぜこんなことになってしまったのかと思いを巡らせていた。

まさか月の女神が、私をあのはぐれ狼の王と引き合わせるなんて! 私の家族ははぐれ狼を軽蔑しているし、向こうも私の家族に対して同じ感情を抱いているようだ。

「チェイスはどこだ? まさか、まだ新しいつがいのナカから抜かずに埋まったままなのか?」ストライカーが尋ねた。

「敬意を持ちなさいよ。彼女は新しいガンマのメスなんだから」クリスはそう言うと、ストライカーの腕を引っぱたいた。

「お前も運命の相手を見つけてみろよ、ストライカー。息継ぎも忘れてのめり込むお前を見て、俺たちが笑ってやるからさ」別の戦士が笑った。

「次の襲撃でチェイスみたいに運良く見つけられるかもな。女神様はご存じの通り、俺の相手はこの群れにはいないみたいだから」ストライカーが言った。

「そりゃそうでしょうね。この群れの相手のいないメス狼とは、ほとんど寝ちゃったんだから」クリスが皮肉っぽく言い返した。

「次の襲撃の話だが、次の場所について何か収穫はあったか、エリック?」アルファ・マイケルが尋ねた。

「いいえ、アルファ。あのラルー家の新しいソフトウェアは実に厄介でして。解析にはあと数週間かかるかもしれません」エリックと呼ばれた戦士が答えた。

「あと数週間も待てない。その間に何度オークションが開かれると思っているんだ」彼は唸った。

「クソッ、忌々しいラルー家め」別の戦士がそう吐き捨てるのが聞こえ、クリスが私のつがいの方へ不安げな視線を送るのが見えた。

「メンバーの半分が薄汚いクズだっていうのに、どうやってシフター評議会の席に座っていられるんだ?」別のぼさぼさ髪の戦士が尋ねた。

「権力と地位、それに金のことしか頭にないからさ」ストライカーが彼に答えた。

「いい加減にしろ!」マイケルが唸り声を上げると、全員が押し黙った。ストライカーは私がその一族の人間だと知っていながら、あんな発言をしたのだ。

夕食が終わり、デザートが運ばれてきたところで、私は席を立って二階の自室へと向かった。一人になって考えをまとめたかったのだが、頭に浮かぶのはつがいのことばかりだった。私は窓際の席に座り、美しく輝く満月間近の月を数分間眺めた。十月の月は大きく、オレンジ色に染まり、低い位置に懸かっていた。こんな夜には、よく外に出て星空の下でチェロを弾いたものだ。音楽を奏でるといつも狼が落ち着いてくれるのだが、今の彼女は気が立っていた。彼女はストライカーに牙を突き立てたがっていたし、私としても彼のその赤い髪を燃やし尽くしてやりたい気分だった。

部屋の隅に置いてあるチェロに目が留まり、私は上着を羽織ってそれを外へ持ち出すことにした。屋敷の裏手からそう遠くない場所に庭があり、そこには石のベンチがあったはずだ。私はチェロのケースを転がして部屋を出て、階段を下りた。

「もう逃げ出すつもりじゃないでしょうね?」

階段を上ってきたクリスが私に尋ねた。

「違うわ。誰の邪魔にもならないように、庭で練習しようと思って」

「一緒に行ってもいい? 私のおばあちゃんがハープを弾いていて、昔はよく何時間も座って聴いていたの」彼女は微笑んだ。

「ええ、もちろん」

私はクリスのことが本当に好きになり始めていた。

私たちは裏口から抜け出し、リンゴの果樹園の近くにある庭へと歩いた。私は石のベンチに座り、チェロの準備をした。夜空は息をのむほど美しく、月は低く、カシオペア座が空高くに輝いている。クリスはリンゴの木の一本に歩み寄ると、実を一つもぎ取った。彼女は木陰に立ち、幹に寄りかかりながら、新鮮な果実をガブリとかじった。

私は目を閉じ、深く息を吸い込むと、調和を感じながら弓を弦の上で滑らせた。『ハレルヤ』の甘美な旋律が空気を満たしていくにつれ、安らぎが体中を流れていく。内なる狼、シアがリラックスするのがわかった。夜空の下で演奏し、音楽が脈動して血管を巡り、心を癒やしていくのを感じるのは、何とも言えない素晴らしい体験だ。『ハレルヤ』は母のお気に入りの一曲で、よく星空の下で弾いてほしいと頼まれる。交響楽団ではクラシック音楽を多く演奏するけれど、父と同じように、私は現代的な曲も好きだ。外で演奏していると、いつも父を少しだけ近くに感じられる。そして今、私は少しの慰めを得るためなら何でも差し出したい気分だった。

最後の和音を弾き終えると、背後から誰かが拍手をしているのが聞こえた。目を開けると、クリスも一緒になって拍手を送ってくれているのが見えた。振り返らなくても、私の真後ろに誰がいるのかは正確にわかった。

「美しかったよ」

彼の声には、誠実さと畏敬の念が込められていた。

「失礼します、アルファ。中で確認しなければならない用件がありまして」

クリスは私にウインクを投げかけると、足早にその場を立ち去った。

「楽器はどのくらい続けているんだ?」

彼はベンチの私の隣に腰を下ろしながら尋ねた。

「6歳の時にレッスンを受け始めたの。父はチェロを弾いていて、それが父の狼を鎮めていたそうなの。今は、私の演奏がシアを落ち着かせるのに役立ってる」

「マーベリックはもう、君の大ファンだよ」

彼は微笑み、それから少しの間、考え込むような表情を見せた。私は彼から、そして彼のハンサムな顔を優しく撫でる月光から、目を離すことができなかった。

「弾いていた、と言ったな? お父さんはもう演奏しないのか?」

「父は私が生まれる前に亡くなったの。あの明るい星が見える? カシオペア座にある、あのアルファ星……あれが父の星よ」

「そうか。じゃあ、外で演奏すると、お父さんを近くに感じるんだな?」

彼はとても勘が鋭い。私が頷くと、彼は私の手を取った。彼が触れた瞬間、信じられないほど心地よい温かさが胸の奥で羽ばたき、全身を駆け巡った。

「待てよ……その伝説なら、どの子狼も聞かされて育つ」彼は驚いたように私を見た。「キャシー、まさか君の父親は『アルファ・オブ・アルファズ』だったのか? 星々の中から我々を見守っているという、あの?」

「それが重要なの? あなたも次の『アルファ・オブ・アルファズ』を狩り出そうとしているわけ?」

私は問いかけた。

「もし君を守るつもりなら、知っておく必要がある。狼だけでなく多くの人間が、権力を維持し誰の指図も受けなくて済むように、『アルファ・オブ・アルファズ』を抹殺しようと狙っているんだ」

彼はそう告げた。

「あなたもその一人なの?」

心臓が締め付けられるような不安を感じながら、私は尋ねた。

「いや、違う。もし『月の女神』が我々に新たな『アルファ・オブ・アルファズ』、あるいは『アルファ・キング』をお授けになるのなら、それは受け入れるべき運命だ。俺は『月の女神』の祝福を敬うように育てられたからな」

「私の父、アルファ・ルーカス・ラルー・セオドラスは、31歳でようやく運命の相手である母を見つけたの。二人が一緒にいられたのはわずか数ヶ月だったけれど、その愛は永遠に続くものだったわ。祖父母は私を守るために、私の存在を隠したの。家族以外は、私が何者なのか誰も知らないわ」

「祖父母の判断は正しかった。これは誰彼構わず共有していい情報じゃない。多くの者が、ラルーの群れから、おそらくは『クレセント・ムーン』か『ダーク・ムーン』から、次の『アルファ・オブ・アルファズ』が現れるのを待ち構えていたんだ」

彼がそう言った瞬間、遠くで遠吠えが響き渡った。

「アルファ・マック! 北の境界に侵入者あり!」

パックハウスから駆け出してきたエリックという名の戦士が叫んだ。そして彼は巨大な灰色の狼へと姿を変え、そのまま走り去っていった。

「キャシー、中に入れ。俺が片付けてくる」

マイケルにそう言われ、私は一瞬、彼と一緒に行きたいと願って立ち尽くした。私の中の狼、シアは外に出て暴れたくてうずうずしていた。彼女はストームの娘とはいえ、全く異質の力、侮れない力を持っていた。番(つがい)を見つけた今、彼女を抑え込むのはますます難しくなっていた。

私は、番の服が二秒もしないうちにビリビリに裂けるのを見守った。現れた彼の狼は漆黒で、巨大だった。私はマーベリックのその暗い瞳を見つめ、手を伸ばして触れたいという衝動に駆られた。だが彼は私を見ると、頭をパックハウスの方へ向け、一言短く吠えた。

「わかった、行くわ。気をつけて」

私はそう言ってパックハウスへと歩き出した。彼は木立の中へと疾走し、彼自身の大きな遠吠えを上げた。今、私、彼に気をつけてって言った? うわっ、彼といると馬鹿みたいに振る舞うのはやめようって心に決めていたのに。

私はパックハウスの中、メインのリビングルームで他の数人の女狼たちと一緒に待っていた。帰りを待つ番として、気が気じゃなかった。ローグ・キングの群れを攻撃しようとするなんて、どこの愚か者だろう。ムーン・レルムは、国内でも最大かつ最強のパックの一つなのに。

部屋を見回すと、茶色の巻き毛をした若い女性が、首に新しいマーキングをつけ、不安そうに辺りを見ていた。

「こんにちは、ジャネットよ。ここには来たばかりなの」彼女は微笑んだ。

「こんにちは、キャシーよ。私も新入り」と私は答えた。

「あなたもアルファ・マックに、売られそうになっていたところを助けられたの?」

「いいえ。でも、彼はそういうことをしているらしいわね。まるで現代のスーパーヒーローみたい」私はくすくすと笑った。

「あなたの狼の匂いがしないけど、人間なの?」彼女がそう尋ねると、部屋中の全員が凍りついたように静まり返った気がした。

「ううん。私の狼はちょっと……眠ってるの。ベータが面白がって、私にトリカブトを注射したから」それはある意味、真実だった。

「まあ、なんてひどいことを」彼女は目を丸くした。「私の番はチェイス、ここのガンマなの」

その時、屋敷の正面から騒がしい音が聞こえてきた。私たちはドアへ駆け寄り、明かりに吸い寄せられる蛾のように外へ出た。数匹の狼が木立から現れ、人間に戻りながら短パンを履いているところだった。アルファ・マイケルが人間の姿で現れた。彼は裸のままで、同じく裸の女性を抱きかかえていた。私は、彼が素早く、かつ慎重にパックハウスへと向かってくる様子を見守った。

「ドクター・ケンドラ! ドクター・ケンドラを呼べ!」チェイスが叫んだ。

彼の腕の中の女性は泣いていて、顔を彼の肩に押し付けていた。彼が裸の他の女性を抱きかかえ、慰めているのを見て、嫉妬の波が押し寄せてきた。周りには他にも男たちがたくさんいるのに、どうして彼が運んでいるの?

「大丈夫だ、アリー。もう安全だ、俺がついている。もう大丈夫だから」

彼はそう言って彼女を安心させながら私の横を通り過ぎ、階段を上がっていった。

数瞬後、蜂蜜色の長い髪をした、二十代後半の美しい女性が医療バッグを持って現れ、階段を駆け上がっていった。彼女がドクター・ケンドラなのだろう。医者が到着した今、アルファが階下に戻ってくるかと思って待っていたが、彼は戻ってこなかった。ジャネットやパックハウスにいた他の女狼たちは、それぞれの番と抱き合って立ち尽くしていた。

私がかき集めた情報によると、あの若い雌狼は群れの領土を無許可で出たため、仲間の追跡者たちに襲われたらしい。彼女はカナダ国境の向こう側にある群れへ逃げ込もうとしていたのだ。

彼は彼女を「アリー」と呼んでいた。名前を知っているだけでなく、あのすがりつき方……。他人同士であんなことがあり得るだろうか? おそらく、彼にとって親しい、個人的な関係のある相手なのだろう。彼のようにハンサムで、まだ「番(つがい)」のいないアルファなら、多くの女性や愛人が追いかけ回しているに違いない。彼と一緒にいるためなら、自分の群れを捨ててもいいと願う者さえいるはずだ。彼が他の雌と一緒にいるところを想像しただけで、私の頭の中でシアが唸り声を上げた。

私に嫉妬する権利なんてない。待って、私、嫉妬してるの? いや、つまり、彼は私の「番」なのだから。私の魂の片割れであるはずの存在だ。私は胸の焼けるような痛みを感じながら、しばらく立ち尽くした。自分がここで何をしているのか、そもそもここに居場所があるのかさえ分からない。月の女神は、本当に私を試しているようだ。

私は階段を上がり、三階へと向かった。自室のドアに手を伸ばしたとき、背後から重い足音が聞こえた。振り返ると、そこには短パンだけを穿いた、上半身裸のアルファが立っていた。見ちゃダメだと必死に自分に言い聞かせても、裏切り者の私の目は彼の首筋から、右胸と肩を覆うタトゥーのある筋肉質な胸へと吸い寄せられてしまう。視線は完璧に鍛え上げられた滑らかな腹筋を滑り落ち、へその下から男の象徴へと続く柔らかい体毛のラインを捉えた。

『ちょっと、キャシー。しっかりしなさい』心の中で自分を叱咤するが、彼の香りが理屈では説明できない反応を私の体に引き起こしていた。顔を上げると、面白がるような彼の視線とぶつかった。

「君の様子を見に来ただけだよ」

彼の低い声が、背筋に痺れるような感覚を走らせる。

「私は大丈夫です。あの女性はどうなりましたか?」そう尋ねたものの、本当に答えを知りたいのか自分でも分からなかった。彼が彼女を抱き寄せ、慰めていた姿を思い出すと、自分の中に得体の知れない感情が湧き上がってくる。私の狼を苛立たせる何かが。

「彼女なら、もう心配ない。私と一緒にここにいれば、ずっと良くなるはずだ。こここそが、彼女の本来いるべき場所なのだから」

「そうですか。なるほど。それは……彼女にとっても、あなたにとっても喜ばしいことですね」私は嘘をついた。もしここが彼女の居場所なら、なぜ月の女神は私までここに引き合わせたの? そもそも、私は一体ここで何をしているんだろう?

彼との距離があまりに近く、その裸の胸が目の前にあるせいで、まともに思考が働かない。もう一度キスしてほしい、彼の唇を味わいたいという渇望が頭をもたげる。

空気が重く張り詰めていた。二人の間の熱と欲望は急速に膨れ上がっていく。抗おうとすればするほど、状況は悪化するようだ。彼を知れば知るほど、彼に対する気持ちが変化していく。とにかく一人になって、頭を冷やす必要があった。

『あんたに必要なのは、彼からのキスの雨よ!』シアが楽しげに口を挟む。

「失礼します、アルファ。疲れ切っているので、もう眠らせてください。おやすみなさい」

「キャシー、私は――」

私は自室のドアを開け、素早く背後で閉めると鍵をかけた。靴を脱ぎ捨てる。明かりをつける気にもなれず、部屋は窓から差し込む月光で美しく柔らかな光に満たされていた。私は急いで服を脱ぎ、寝間着代わりの長いシャツを被った。ベッドに潜り込んだ瞬間だった。鍵が開く音がして、ドアがきしみながら開いた。彼の持つ爽やかな雨と大地の香りが、微かな情欲の気配と混じり合い、部屋の空気を満たしていく。

「キャシー、話がある」

前のチャプター
次のチャプター