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第十四章――終わらない夜

ユードラ視点

「息をのむほど美しい」

舞踏会への支度を終えた私を見て、アレスは感嘆の声を漏らした。

「心配するな、俺にも同じことを言ってたぜ」

ワイルダーはにっこり笑うと、タキシードの蝶ネクタイを直した。

私の両親、クロウじい様、そしてシビルも支度を終えていた。私は急いでルーカスに別れのキスをし、レイヴンには哺乳瓶を一本置いてきたこと、あと一時間もすればお腹が空くだろうことを伝えた。それほど長く留守にするつもりはなかったけれど、私たちが戻る頃にはきっと眠ってしまっているだろう。

私たちはエレベーターに乗り込み、ホテルの警備された駐車場へと向かった。ドアが開...

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