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第二十三章――見覚えのある人?

ユードラ視点

「あれは人狼じゃない、本物の狼だ」と彼は言った。目を閉じたままのその姿は、ひどく具合が悪そうに見えた。

「本物の狼ですって?」私が尋ねると、彼はまるでまた眠りに落ちるかのように頷いた。

彼は人狼と同じ檻に入れられていた。彼女のほうは壁に長い鎖で繋がれてはいなかったが、彼の足には枷がはめられていた。危険な人物なのだろうか。ひょっとして人間? 八十歳はあろうかという人間を捕らえて、一体どうするつもりなのだろう。あの大男は、あの子を奴隷と呼び、自分の朝食を作らせるために連れて行った。朝食の後には戻ってくるかもしれない。そうしたら、助けを求められるか...

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