第5章 あなたは私のものになった
吹雪はますます激しくなり、世界全体が真っ白に覆われていった。
通りには一人の歩行者もおらず、朝本陽夏と朝本ヒカリは家々の微かな灯りを頼りに方向を見定めていた。
朝本ヒカリは体力が尽き、よろけて地面に倒れ込んだ。朝本陽夏はまだ広くない背中で朝本ヒカリを背負い上げた。このような吹雪の中で、少しの躊躇が二人を低体温症で凍死させる危険があった。
朝本陽夏の心の中には、既に行くべき場所が決まっていた。
雪に覆われた道は時折歩きにくくなるが、朝本陽夏の一歩一歩は非常に慎重で、確実だった。
彼の決意に満ちた眼差しは前方をしっかりと見据え、朝本ヒカリは彼の背中で疲れ果てて気を失っていた。
朝本陽夏は歯を食いしばり、心の中で自分に言い聞かせた。「頑張れ!絶対に朝本ヒカリを安全に届けるんだ」
遠くに、木製の窓枠を通して温かい灯りが朝本陽夏の視界の端にゆっくりと浮かび上がった。朝本陽夏が一歩進むごとに、その温かく明るい建物は少しずつ大きくなっていった。
木製の大きな扉が開く音が、吹き荒れる風雪の中で響いた。
兄妹に向かって歩いてきたのは一人の少年だった。朝本陽夏はその落ち着いた眼差しを見て、目の前の少年が自分よりも数歳年上だろうと考えた。
「彼女は重傷を負っている。私に任せてくれ」少年は朝本陽夏に手を差し出した。
朝本陽夏は躊躇してその場に立ち尽くした。
「安心していい。私は藤井謙信という名前だ」
相手の姓を聞いて、朝本陽夏の緊張は完全に解けた。彼は朝本ヒカリを背中から下ろした。藤井謙信はそのまま気絶している朝本ヒカリを背負い、二人の少年は遠くの明るい家へと向かった。
家の中に入ると、藤井謙信はまず朝本ヒカリをソファに横たえ、身についた雪を払い落とした。その後、毛布で気絶している朝本ヒカリを包み、暖炉に火を入れ、盆に熱い水を汲んで朝本ヒカリの顔の血を丁寧に拭き取った。
朝本陽夏は安堵の息をつき、地面にへたり込んだ。
彼は足音がゆっくりと近づいてくるのを聞いた。二階の階段口から、豪華な装いの婦人が降りてきた。藤井謙信はそれを見て、すぐに恭しく礼をした。
「お婆様、人を連れてきました」
藤井お婆様は気絶している朝本ヒカリのそばに来て、指先で朝本ヒカリの顔を軽く撫でた。
「この少女とは鈴木家で一度会ったことがある」
朝本陽夏は藤井お婆様の言葉を聞いて、すぐに跪いた。「藤井お婆様、どうか鈴木家のおばあさんの顔を立てて、私の妹をお助けください!」
藤井お婆様は朝本陽夏の真摯な眼差しを見つめ、しばらくの間躊躇した後、ゆっくりと尋ねた。「藤井謙信、家には今何人の子供がいるの?」
藤井謙信は答えた。「六人です」
藤井お婆様は言った。「今から彼女が七人目だ」
藤井謙信は重い表情を保ち、黙っていたが、藤井お婆様の決定に逆らうことはなかった。
藤井お婆様は続けて言った。「藤井謙信、行きなさい。上には掃除済みの客室がある。執事、この少年をもてなし、食事を与えた後、車で家まで送ってあげなさい」
朝本陽夏は急いで感謝の意を示した。「ありがとうございます、藤井お婆様!」
しばらくして。
朝本ヒカリは柔らかなシモンズの上で目を覚まし、橙色の灯りに包まれた温かい部屋を見て、無意識に自分にかけられたベルベットの毛布を撫でた。彼女は目の前の光景が信じられなかった。
「ここは天国なの?天国ってこんな感じなの?」朝本ヒカリは独り言を言った。
すると、一人の清秀な少年がゆっくりと口を開いた。
「ここは天国じゃないよ。君は殴られて頭がおかしくなったんじゃないか?自分が誰か覚えているか?」
少年の眉目は特に美しく、朝本ヒカリは一瞬呆然とした。少年がゆっくりと近づき、身を屈めると、二人の顔はお互いの息遣いを感じられるほど近づいた。朝本ヒカリはようやく我に返った。
「ごめんなさい!」
「朝本ヒカリ!私は朝本ヒカリって言います」
少年はその威厳ある声で命じた。「そのくだらない名前は忘れろ。これからはお前は私、藤井謙信のものだ」























































