第60章 ドローンの盛大な告白

「大丈夫?」

梅澤星哲がどこからともなく割り込んできて、朝本ヒカリを支えた。彼女はそのおかげで地面に膝をつくことなく済んだ。

朝本ヒカリは体勢を立て直し、振り返って見ると、人混みの中に藤井謙信の大きな姿が一瞬見えた。彼は腕の中に誰かを守るように抱えていた。

はっきりとは見えなかったが、朝本ヒカリには分かっていた。あれは鈴木雪乃だ。

「押さないで!転んだ人がいるよ!」

後ろから誰かが叫んでいたが、人の流れは依然として押し寄せていた。

どうやらお化け屋敷の前でドローンショーが始まったらしく、みんなが急いで見ようとしていたため、この辺りが混雑していたのだ。

朝本ヒカリは...

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