第101章

「林田おじさん、安心して。会社をもっと良くしていくから。まずは南町のプロジェクトを立ち上げましょう」

安藤絵美は笑顔で、自らの計画を林田会長に告げた。

林田会長の胸も高鳴った。彼の目には、生前の安藤絵美の母の、あの手腕を振るう姿が重なって見えたのだ。

全くもって理解に苦しむ。高藤社長ほど優秀な女性が、なぜ安藤丘のような男——あのろくでなしを見初めたのか。

K市、フォーシーズンズホテル。

「若様、お久しぶりです。相変わらずお若いですね」

リビングで、安藤丘はソファに座る中年男性を前に、居心地悪そうにしていた。

目元を見ると、男は高藤楓子と五、六分ほど面影が似ていた。五...

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