第109章

「僕は弟がいい! 妹なんていらないもん!」

達也ちゃんは頬を膨らませて、哲也ちゃんに言い返した。

哲也ちゃんはフンと鼻を鳴らす。「そんなの、達也が決めることじゃないよ。パパとママが決めることだし」

安藤絵美は呆れたように長男を見やった。男の子か女の子かなんて、自分や原田桐也がどうこう言ったところで決まるものではないのに。

彼女は息子たちの前に歩み寄ると、その手から小さな枕を取り上げてベッドに放った。「二人とも、いい加減にして寝なさい。さもないと、明日にでも幼稚園に放り込むわよ」

哲也ちゃんも達也ちゃんも、まだ幼稚園に通ったことはないが、なぜか二人ともそこへ行くのをひどく嫌がっていた...

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