第115章

使用人は原田桐也のどす黒く沈んだ表情を見て、恐怖のあまり顔色を失った。

彼は震える声で原田桐也に告げる。「桐也様、階下で大変なことが……。二人の若様が、お嬢様に薬を盛られたと仰っています。どうか、いらしてください」

「何だと? 林田伽奈が、俺の息子に何の薬を盛った?」

原田桐也が口を開くよりも早く、安藤絵美が疾風のごとく入り口に現れた。その美しい瞳には、怒りの炎が赤々と燃え上がっている。

使用人は慌てて説明した。「二人の若様はご無事です。何でも、薬入りの麺を表のお嬢様が誤って召し上がったそうで、今もまだ手洗いから出てこられません。どうやら、腹を下す巴豆の粉を仕込まれたようで……」

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