第119章

「ママ、苗おばちゃんは……大丈夫かな?」

原田桐也と安藤絵美の表情がかつてないほど険しいのを見て、達也の黒目がちの瞳はたちまち涙で溢れそうになった。

安藤絵美はすぐに達也の頬にキスをする。「大丈夫よ、何ともないから」

「ボクもマ……ボクも一緒に苗おばちゃんを助けに行く」

達也は一緒に行こうと駄々をこねたが、安藤絵美がなんとかなだめすかしてその場に留め置いた。

安藤絵美と原田桐也はすぐに車に乗り込み、原田家の旧邸を後にした。

高藤邸。

「大旦那様、桐也様からお電話です。お嬢様の別荘へ来ていただきたいとのことです」

三上がダイニングテーブルへ歩み寄り、食事中の高藤翁に告げた。高藤...

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