第130章

高藤の祖父の表情が一変した。

「何があった」

高藤琉唯はありのままを報告した。

「安藤絵美も安藤丘の情報を掴んでいたようで、私より一足先に彼を捕らえていました。お祖父様が探している人物だと伝えたのですが、彼女は引き渡しを拒否しました。それどころか、自分は高藤の人間ではないから、こちらの都合など知ったことではないと……」

その言葉を聞いた高藤の祖父は、一瞬にして十歳も老け込んだかのように見えた。

高藤琉唯は激昂するかと身構えたが、彼は静かだった。

ただ重厚な椅子に深く腰を下ろし、長い間、沈黙を守っていた。

高藤加井と高藤琉唯の父娘も、息を詰めて老人が口を開くのを待つしかなかった。...

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