第15章

林田悟朗は固まった。

いや、この女は一体何をしているんだ?

彼がぼうっとしている間に、森川エリはすでに中身を取り出していた。コーヒー一杯と、たこ焼きの箱だ。

安藤絵美は見覚えのあるパッケージを認めて、一瞬気を取られた。原田桐也がわざわざ彼女のマンション近くまで買いに行ったのか?

なぜ?

この男は一体何を考えているのだろう?

森川エリはたこ焼きを見ると、露骨に嫌そうな顔をして脇に置き、そのコーヒーカップを持ち上げ、芝居がかった声で驚いた。「原田社長がどうして私がこの味が好きだと知っていたのかしら?しかも山田さんのハンドドリップまで」

高級コーヒーショップは多いが、これは原田桐也の...

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