第16章

「そんなことありませんよ、ただの服ですから、洗濯に出してきます」

林田悟郎は安藤絵美が怒りを見せたのを見て、一着の服のことで問題を大きくしたくないと思い、すぐに服を受け取った。

安藤絵美はそれを見て、彼が原田桐也が森川エリを追いかけている関係で、自ら進んでこの件を引き受けたのだと思い、心中たちまち不快になった。

「では、林田さんの好きにして」

振り返って、安藤絵美は休憩室に戻り、バッグを取りに行き、撮影クルーを離れようとした。

林田悟郎は呆然とした顔で見ていた。まさか安藤さんの機嫌を損ねてしまうとは思わず、安藤絵美に説明しようとしたところで、原田桐也から電話がかかってきた。

彼は...

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