第272章

四宮喜咲が内心で不満を抱き続けているのなら、いっそ会社を任せてしまえばいい。

四宮志延の腹は、すでに決まっていた。

思考を中断し、彼は四宮喜咲に向かって首を横に振る。

「いや、いい。もう検査は済ませた。明日の午前中、会社へ連れて行って引き継ぎをする。あとのことはお前が処理すればいい」

四宮喜咲は涙を拭うと、神妙な面持ちで四宮志延に約束した。

「お父様、安心してください。私が心を込めて経営し、会社を必ず元の地位に戻してみせます」

四宮志延は満足げな表情を浮かべたようだった。

「ああ。私は二階で少し休むことにするよ。夕食の時間になったら呼んでくれ」

四宮喜咲は自ら手を貸して二階へ...

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