第28章

「ああ、私の部屋に行こう」

原田桐也は安藤絵美の逃げるような目を見つめながら、唇の端をわずかに上げた。

この瞬間、安藤絵美はまな板の上の魚のような気分になった。

「それは良くないと思う。私、熱があるの。もし桐也様にうつしたらどうするの?桐也様は自分の体を大切にしないと、軽く考えてはダメよ」

安藤絵美は真剣な眼差しで彼を見つめ、先ほどの言葉を撤回してくれることを願った。

「君が熱を出しているからこそ、一人で部屋にいるのが心配なんだ。もし夜中に急に高熱が出たらどうする?君は私のベッドで寝て、私はソファで寝るよ」

彼の説明を聞いて、安藤絵美はわずかに安堵のため息をついた。

それでも彼...

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