第29章

「うん、気分が悪くなったらすぐ呼んでくれ」

原田桐也の返事に安藤絵美はほっと息をついた。

彼がリビングに向かうのを見て、絵美はすぐに寝室のドアまで歩き、内側から鍵をかけた。それでようやく胸のつかえが下りた。

できるだけ音を立てないように鍵をかけたつもりだったが、原田桐也の鋭い耳にはしっかりと聞こえていた。

原田桐也は可笑しくもあり、腹立たしくもあった。もし他の女性なら、ドアに鍵をかけるどころか、とっくに服を脱ぎ捨てて自分に絡みついてきているだろう。

まあいい、今は病気なのだから、気にすることもないだろう。

安藤絵美は安心して服を脱ぎ、浴室に駆け込んでシャワーを浴びた。

広い浴槽...

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