第33章

「絵美ちゃんを助けたのか?」

原田桐也は空になった茶碗を脇に置き、明らかに先ほどより冷たい声音で尋ねた。

鈴木雲は首を横に振り、顔いっぱいに笑みを浮かべた。「助けようと思ったんだが、安藤さんにその機会を与えてもらえなかったな」

「ほう?」

鈴木雲の表情を見て、原田桐也はすぐに察した。安藤絵美はきっと自分を不利な立場に立たせなかったのだろう。

鈴木雲は彼に言った。「驚いたよ。安藤さんがまさか空手ができるとはね。三人とも全く歯が立たなかった。血のつながった実の父親には手加減していたが、継母と義理の妹はさんざんな目に遭わされていたよ」

「本当は不思議だったんだ。なぜこんな若い女の子に目...

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