第350章

 安藤絵美は、原田の大奥様のあまりにも穏やかな笑みを前にしては、彼女がよそってくれた料理を拒むこともできず、仕方なく無理をしてすべて平らげた。

 離れに戻ると、絵美はすぐに二階へ上がり、ハイネックの服に着替えた。

 それを見た達也が、不思議そうな顔をした。

「ママ、朝ごはんの時の服、すごく似合ってたのに。なんで着替えちゃったの?」

 絵美は達也に答える。

「寒かったからよ」

「でも、今日はお日様が出てるよ? 昨日よりポカポカしてるのに」

 達也はまだ納得がいかない様子だ。すると、横にいた哲也が真顔で達也に教えた。

「ママの首、蚊に刺されちゃったんだよ。ママはそれをかっこ悪いと...

ログインして続きを読む