第352章

原田大奥様が使用人への指示を終えると、安藤絵美が尋ねた。

「お義母様、大きな花瓶はありませんか。この薔薇を生けたいのですけれど」

それを聞くと、原田大奥様は微笑んで答えた。

「ええ、もちろんありますよ。すぐに持ってこさせましょう」

やがて使用人が、薔薇を生けるのに手頃な大きさの花瓶を見繕って持ってきた。

絵美がそれを持って離れに戻ると、原田大奥様は椅子に腰かけていた原田お爺さんに話しかけた。

「桐也ってば普段は堅物に見えるけれど、絵美ちゃんに対しては意外とロマンチストなのね」

原田お爺さんはさも当然といった風に言う。

「何を珍しがることがある。桐也は私の息子だぞ、父親に似るの...

ログインして続きを読む