第360章

安藤絵美にとって、高藤加井からの礼など不要だった。とはいえ、電話に出ないというのも角が立つ。

母を死に追いやった元凶はあくまで高藤の祖父であり、叔父である加井に対しては、そこまで強い恨みはない。

だからこそ、彼女は電話に出ることにした。

受話器の向こうから、高藤加井の声が響く。

「絵美ちゃん、ありがとう。琉唯を助けてくれたのは、これで二度目だね。何か欲しいものはあるかい? この叔父にできることなら、必ず叶えてあげるよ」

加井の感謝は本物だった。

前回のバーでの一件、もし安藤絵美が駆けつけていなければ、四宮喜咲が差し向けた男たちによって娘は破滅させられていただろう。

そして今回も...

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