第362章

「ちょうど俺も喉が渇いていたところだ。一緒に下へ行こう」

 原田桐也はそう言うと、ベッドから身を起こした。

 安藤絵美には分かっていた。桐也がついてきてくれるのは、自分のことが心配だからだと。

 胸の奥がじんわりと温かくなり、心に巣食っていた冷たいものが少しずつ溶けていくのを感じた。

 階下へ降りると、絵美は自分と桐也のために水を注いだ。

 グラスに氷をいくつか入れようとしたが、それは桐也に止められてしまった。

「絵美、冷水は胃に良くない。特に今は夜だ、氷はやめておいたほうがいい」

 絵美は少しむっとして桐也を睨んだが、不満ながらもその言葉に従った。

 水を飲み干すと、絵美は...

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