第365章

田中晃の一件は、四宮喜咲にとって屈辱以外の何物でもなかった。

衆人環視の中、あろうことか原田桐也の目の前で田中晃の名前を出されるなど、高藤琉唯に顔の皮を剥ぎ取られたも同然ではないか。

四宮喜咲の顔色は怒りでどす黒く染まり、彼女は高藤琉唯をねめつけた。

「強がらないでよ。本当は田中晃のことが好きだったんでしょう? ただ彼があなたに見向きもしなかったから、可愛さ余って憎さが百倍ってところかしら」

「好きでもない男を、わざわざ会社のチーフデザイナーに据えるわけがないもの」

高藤琉唯は即座に反論する。

「誰があんな男! 適当なこと言わないで!」

四宮喜咲は薄ら笑いを浮かべた。

「ほら...

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