第372章

四宮喜咲は胸に渦巻く嫉妬心を抑えきれなかった。

去り際に安藤絵美が四宮志延と言葉を交わさなかったのを見て、つい父親である志延に絵美の悪口を吹き込んでしまったのだ。

四宮志延は会場の入り口から視線を戻し、無表情な眼差しを四宮喜咲に向けた。

「どうした、もう猫を被り続けるのは限界か?」

四宮喜咲は一瞬呆気にとられ、思わず聞き返した。

「……お父様、何を仰っているのですか?」

「お前は絵美ちゃんを妬んでいる。以前は『絵美ちゃんのことを実の妹のように思っている』と言っていたが、その実、嫉妬に狂っているだけではないか。本当に妹だと思っているなら、あのような口は利けんはずだ」

図星を突かれ...

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