第380章

古村苗には、安藤絵美が何か悩みを抱えているのが痛いほど伝わっていた。だが、本人が口を閉ざしている以上、今はまだ話したくないのだろう。

そう察して、苗はそれ以上追及するのをやめた。

食事を終え、絵美たちがホテルに戻った時のことだ。

ロビーに足を踏み入れた途端、四宮喜咲が数人のボディーガードを引き連れて入ってくるのが見えた。

絵美と原田桐也が並んで立っている姿を目にし、喜咲は激しい苛立ちを覚える。その光景が、彼女にはどうしようもなく目障りだったのだ。

腹の虫が治まらない喜咲は、たまらず絵美の前に歩み寄ると、刺のある声で言った。「あなた、このまま部屋に戻るつもり?」

絵美は冷ややかな視...

ログインして続きを読む