第39章

「知ってるでしょう、私が帰ってきたのは恋愛のためじゃない」

安藤絵美は我に返り、真剣な表情で古村苗に応えた。

古村苗はため息をついて、スマホを持って書斎に入っていく安藤絵美を見つめた。少し考えてから、やはり友人に幸せになってほしいと思い、そっとドアを開け、向かいのインターホンを押した。

原田桐也がドアを開けると、意外そうに古村苗を見た。

「何か用か?」

「桐也様、絵美ちゃんのこと好きですよね?」

その言葉を聞いた原田桐也は、すぐにドアを大きく開け、古村苗を中へ招き入れた。

「君は私と絵美ちゃんが一緒になることを望んでいるのか?」

古村苗は力強くうなずいた。「もちろんです。うち...

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