第40章

「桐也様、ありがとう、もう十分だよ。これ以上迷惑かけたくないんだ」

安藤絵美の心に感動がないわけではなかった。ただ、彼女は原田桐也と一緒になるつもりはなく、これ以上彼に恩を受けたくなかった。

原田桐也は、真剣に自分を拒む彼女の顔を見つめ、心の中でため息をついた。

どうやら、あのくずは本当に安藤絵美に深い傷を負わせ、彼女が新しい恋愛を受け入れられなくなるほどだった。

しかし、原田桐也はそう簡単に諦める男ではなかった。

箸を置くと、彼の厚くて温かい手が、安藤絵美の白く柔らかな手を直接握りしめた。墨のように深い瞳で真剣に彼女を見つめ「絵美ちゃん、君に頼られるのが好きなんだ。それは君が私を...

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