第49章

二千万は小さな額ではなく、安藤丘も出せないわけではなかった。

だが彼は本当に安藤絵美に渡したくなかった。

特に安藤絵美が会社の株式の五十パーセントを手に入れたばかりだというのに、彼は一銭たりとも安藤絵美に利益を与えたくなかった。

安藤丘の顔に躊躇いの色が浮かぶのを見て、安藤絵美は笑いながら安藤羽言に言った。「お父さんがそんなに可愛がってるから、二千万くらいすぐ出してくれると思ったのに。まさかお父さんの心の中で、あなたが二千万にも値しないなんて。ふーん、やっぱりあなたもたいした娘じゃないのね」

安藤羽言の目は瞬く間に赤くなり、つらそうな眼差しで安藤丘を見つめた。「お父さん、本当に私を見...

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