第57章

林田栄治の言葉に安藤絵美は少し戸惑った。

「どうしてそんなことを聞くの?」

林田栄治はすぐに彼女の唇を指差した。「唇が少し腫れてるよ。蚊に刺されたこと知らなかったの?」

安藤絵美はそれを聞くと、すぐにバッグからコンパクトを取り出し、開いて鏡を見た。

確かに、彼女の唇は少し腫れていた。

もちろん彼女は唇が腫れている理由を知っていたが、林田栄治には言えなかった。「本当に気づかなかった。でも大したことないから、明日には引くよ」

「ボス、顔も赤くなってるよ。もしかして蚊にウイルスでも持ってたんじゃないか?病院に一緒に行きましょうか?」

林田栄治は本気で安藤絵美が病気になることを心配して...

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