第68章

安藤絵美と原田桐也が戻ってきたのは、それから一時間後のことだった。

古村苗と哲也ちゃん、達也ちゃんは、すでに食事を済ませていた。

「テーブルのはもう冷めちゃってるから、そのままでいいわよ。キッチンで温め直しておいたから、今持っていくわ」

古村苗はそう言いながらキッチンへと向かう。

安藤絵美もそれを見て、手伝うために後を追った。

「桐也様に怒られなかった?」

キッチンに入ると、古村苗はリビングで哲也ちゃんや達也ちゃんと話している原田桐也を盗み見ながら、こっそりと尋ねた。

「ううん、大丈夫」

安藤絵美はそう答えたものの、その表情には葛藤が滲み出ている。

古村苗は不思議そうに首を...

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