第73章

安藤絵美は、原田桐也が達也ちゃんに翻弄され、困り果てた顔をしているのを見て、思わず笑みをこぼした。

あの天下の原田桐也ともあろう人物が、まさか三歳にも満たない幼児にやり込められるとは、誰が想像しただろうか。

彼女は笑みを浮かべたまま原田桐也のそばへ歩み寄ると、彼の手から達也ちゃんを受け取り、その小さな頭を軽く小突いた。

「達也ちゃん、そんな失礼なことを言っては駄目よ。子供時代は人それぞれ違うの。自分の基準で他人を判断しちゃいけません。わかった?」

達也ちゃんは頭に軽い拳骨を食らい、さらに母親の真剣な表情を見て、観念したように口を開く。

「わかったよ、ママ」

「じゃあ、どうするべき...

ログインして続きを読む