第91章

林田悟朗は当初、護衛たちに命じて子供用の車を二階へ運ばせようとしていたが、予想に反して、原田桐也が自ら二人の若様を抱きかかえて降りてきた。

教わらずともすぐに車を運転して敷地内を走り回る若様たちの姿を見て、彼は心の中で感嘆した。やはり桐也様の息子だ、生まれつき賢い。

とはいえ、二人はまだ三歳にもなっていない。万が一の事故を防ぐため、林田悟朗は護衛たちと共に彼らに付き添った。

原田桐也は、楽しそうに笑いながら車を走らせる哲也と達也を眺め、目を細めた。

彼は手を伸ばして安藤絵美を抱き寄せると、愛おしそうにその額に口づけを落とした。

「嬉しいか?」

安藤絵美は頬を微かに染めた。

「も...

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