第92章

「桐也様、ここは控室ですよ……誰か入ってきたらどうするんですか」

どれくらい口づけを交わしていただろうか。安藤絵美は息が続かなくなり、原田桐也の胸を軽く押し返した。

いつの間にか彼女の服はまくり上げられており、桐也の手は背中へと伸び、下着のホックを外そうとしていたところだった。

原田桐也は深い眼差しで安藤絵美を見つめた。

「聞いたぞ。山本弘が藤原謙を誘拐したのは、あいつがお前のヒモだと誰かに吹き込まれたからだそうだな」

安藤絵美は一瞬きょとんとしたが、すぐに合点がいった。さっきのキスに、あれほど感情がこもっていた理由が。

唇がまだ痺れているのは、彼がそれだけ激しく求めて...

ログインして続きを読む