第96章

安藤絵美は訝しみながらもドアを開けた。そこには、原田桐也が佇んでいる。

「哲也ちゃんと達也ちゃんの声が聞こえたからな。そろそろ君も起きる頃だと思って来てみたんだ。昨夜はよく眠れたか?」

原田桐也は安藤絵美に視線を向け、穏やかな笑みを浮かべた。

安藤絵美の胸に、じんわりと温かいものが広がる。誰かに気にかけてもらえるというのは、本当に心地よいものだ。

「ええ、ぐっすりと。桐也様は?」

原田桐也は意味ありげな視線を彼女に送る。

「俺はほとんど眠れなかったよ。理由はわかっているだろう?」

その言葉の意味を瞬時に悟り、安藤絵美は思わず彼を睨みつけた。恥ずかしさと怒りが入り混じる。

「桐...

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