第11章

美術教師の言葉に、教室の女子たちがどっと笑いを漏らした。

美術教師の嘲笑に、美咲は無表情のままだった。みんなが内心で高橋信二のことを好きでいることを、彼女は知っていた。彼女たちの目には、高橋信二はお金持ちで、イケメンで、性格も良い男性に映っているのだから。

しかし、高橋信二と同じ家で暮らす美咲は、この男性に対して少しも好感を持っていなかった。

「きっと、あいつのことが嫌いすぎて、無意識に描いてしまったんだわ」

美咲はそう考えた。

「美咲、何もしないの?この先生、本当にひどいよ」

田中遥は美術教師を見つめる目に嫌悪感を滲ませていた。

美咲は首を振った。

「いいの、そんな必要ない...

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