第24章

小林美咲はその部屋から既に出ていた。自分の服が見つからず、仕方なく佐藤健の服を借りて着ていた。

今の小林美咲の心は恐怖で満ちていた。一刻も早く高橋家の別荘に戻らなければならない。できれば何事もなかったかのように振る舞えば、佐藤健や親友の田中遥を守れるかもしれない。

小林美咲は分かっていた。同じベッドで目覚めた佐藤健は必ず高橋信二の報復を受けるだろう。そして彼女をパーティに連れて行った田中遥も、高橋信二は決して見逃さないだろう。

突然、小林美咲の携帯電話が鳴り始めた。高橋信二からの着信だった。

小林美咲は高橋信二の番号を見つめた。

震える手で携帯電話を握り、電話に出るのをためらった。...

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