第31章

田中陽子は小林美咲を見つめながら、かつて捨ててしまった娘に対する後悔の念に満ちていた。

「私があなたを恨まれているのは分かっています。あなたが一番私を必要としていた時に、私はあなたを置いて去ってしまった。確かに母親の資格など私にはないでしょう。でも信じてください、この何年もの間、私はずっと罪悪感の中で生きてきたのです。高橋信二と結婚したあなたを見て、少しほっとしました。少なくともあなたの生活はそれなりに恵まれているようで…」

田中陽子は小林美咲の手を取ろうとしたが、再び払いのけられてしまった。

「言ったでしょう。あなたに私の母親になる資格はないって。それに、あなたが私を訪ねてきたのは、...

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