第35章

小林美咲は鈴木正幸と林田颯の会話の中で「鴻栄会社」という言葉を耳にして、非常に興味を抱いた。なぜなら、その会社は親友の田中遥の家が経営している会社だったからだ。

小林美咲はオフィスのドアに耳を当て、会話を聞こうとした。しかし、林田颯のドナルドダックのような声は、かすれていて小さく、何を言っているのか全く聞き取れなかった。

仕方なく、小林美咲はいったんオフィスを離れ、田中遥に電話をかけて、彼女の家の会社に何か起きたのかを確認しようと思った。

自分のデスクに戻った小林美咲は携帯電話を取り出し、田中遥に電話をかけた。しかし意外なことに、田中遥の電話はどうしてもつながらなかった。

「もしかし...

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