第39章

田中湊は高橋信二のオフィスに入るなり、卑屈な態度を見せた。

「高橋社長、今回の件は確かに私どもの過失です。どうかもう一度チャンスをいただけないでしょうか。もう少し猶予をいただければ、原材料さえ見つかれば、必ず任務を完遂いたします」

高橋信二は手元の書類に目を通しながら、田中湊を見上げることもなかった。

小林美咲はグラスに水を注ぎ、田中湊の前に置くと、ソファに座るよう促した。

「おじさん、ご安心ください。私が今回来たのは、この問題を解決するためです。遥ちゃんは私の親友ですから、彼女が傷つくのを黙って見過ごすわけにはいきません」

小林美咲は田中湊に笑顔を向けた。

田中湊は小林美咲と実...

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