第49章

小林美咲は高橋信二が暗がりから彼女を見つめていることに気づいていなかった。彼女の視線はステージ上のモデルに釘付けになっていた。しかし、彼女が本当に期待していたのは自分の作品だった。

時間が刻一刻と過ぎ、ショーも終盤に差し掛かっていた。小林美咲は疑問に思い始めていた。どうして自分の作品がまだ登場していないのだろう?もしかして高橋信二は彼女の作品をトリに持ってきたのだろうか?でもそんなはずがない。

小林美咲は、自分の作品がそれほど人気を集めるとは信じたくなかった。それよりも高橋信二が彼女をからかっているのだと考えたほうがまだ納得できた。

突然、リズミカルだった音楽が優雅な調べに変わり、背の...

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