第53章

鈴木正幸は田中遥を警察署まで連れて行った後、そのまま立ち去った。

田中遥は警察官の同行の下、自分の車を見つけたが、例の不良たちはすでに逃げていた。

警察からは、田中遥が水原七海を首謀者として訴えているものの、あの不良たちを捕まえない限り、水原を逮捕することはできないと告げられた。

田中遥にもこれ以上の手立てはなく、とりあえず家に帰るしかなかった。

田中遥の家では、藤原池がパソコンで何かを操作していた。彼氏の姿を見た瞬間、田中遥の胸に強い悔しさがこみ上げてきた。彼女は今日あった出来事を藤原池に打ち明けた。

しかし彼氏の反応は彼女の心をさらに凍らせるものだった。

「無事だったんじゃな...

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