第9章

美咲が階段を降りてきた時、最初に目に入ったのは山田さんの艶めかしい眼差しで、それだけで顔が真っ赤に染まってしまった。

「山田さん、彼奴はどこですか?」

美咲は先に尋ねた。

昨夜のことについて山田さんに何か聞かれたくなかったからだ。

「若旦那は今朝早くに海外へ出発されました。昨日はお嬢様のお誕生日のために、特別に一日残られたんですよ」

山田さんは言いながら、朝食を運んできた。

「優しさなんかじゃない。私を困らせたいだけよ」

美咲は朝食を食べながら、心の中で呟いた。

突然、山田さんが驚きの声を上げた。

「お嬢様、首どうなさったんですか?」

美咲は驚いて首に手を当てたが、特に変...

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