第11章:仕事に戻れ、地獄が待っている?

ノーラ視点

冗談でしょ。

あの気取ったクソ野郎、アレクサンダーがこれみよがしな高級車の中で無理やりキスしてきたかと思えば、今度はどこの誰とも知らない社員が、私をまるで部外者のように彼の社長室へ案内している。彼の――クソみたいな話だけど――である私を、だ。皮肉にもほどがある。さっきまで私の口に舌をねじ込んできたかと思えば、次の瞬間には奴のクソみたいな帝国で赤の他人扱いだなんて。

ジャケットを直しつつも、まだ腰にアレクサンダーの手が絡みついている幻の感触が残っていた。『クソ野郎』。あのキスで唇が燃えるように熱い。それに反応してしまった裏切り者の自分の体が憎かった。これはただの、生々しく...

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